2018年5月12日付け XB-1より抜粋
http://www.casopisxb1.cz/aktuality/akademie-sffh-2017/
5月10日から13日までプラハで開催された国際ブックフェアSVĚT KNIHY(BOOK WORLD)PRAHA 2018において、今年のアカデミーSFFH(SF・ファンタジィ&ホラー)賞が発表された。主要部門の受賞作は以下のとおり(★印がついている作品)。
最優秀書籍賞
★フランチシェク・ノヴォトニー:Hvězdné hry(スター・ゲーム)
生涯功労賞
★ヤナ・レチュコヴァー Jana Rečková
アレクサンデル・シュナイデル Alexander Schneider
フランチシュカ・ヴルベンスカー Františka Vrbenská
SF部門
チャーリー・ジェーン・アンダース:All the Birds in the Sky
★劉慈欣:三体
アレックス・ドレシャー:Lovcův odkaz(狩人の遺産)
ヤン・ハラーフカ&ヤナ・ヴィビーラロヴァー:Pomníky zimy(冬の記念碑)
ジェフ・ヴァンダミア:監視機構
ファンタジィ&ホラー部門
★レアード・バロン:Beautiful Thing That Awaits Us All
ピーター・S・ビーグル:In Calabria
ロバート・ジャクソン・ベネット:City of Blades
カズオ・イシグロ:忘れられた巨人
ケン・リュウ:諸王の誉れ&囚われの王狼(蒲公英王朝記 第一部)
チェコ&スロヴァキア作品部門
ユーライ・チェルヴェナーク:Dračia cárovná(竜の皇女) スロヴァキア
ユーライ・チェルヴェナーク:Vlk a dýka(狼と短剣) スロヴァキア
★ヤン・ハラーフカ&ヤナ・ヴィビーラロヴァー:
Pomníky zimy(冬の記念碑)チェコ
ヨゼフ・カリカ:Trhlina(割れ目) スロヴァキア
アレクサンドラ・サルメラ:Antihrdina(アンチヒーロー) スロヴァキア
短編集部門
★レアード・バロン:Beautiful Thing That Awaits Us All
ズザナ・フロウシュコヴァー&フランチシュカ・ヴルベンスカー編:
Žena se sovou(淑女と梟)
ボリス・ホクル&レオシュ・キシャ編:Ve stínu Říše(帝国の影で)
S・T・ジョシ編:Black WingsⅢ
フランチシェク・ノヴォトニー:Hvězdné hry(スター・ゲーム)
最優秀短編賞
★ヤナ・レチュコヴァー Jana Rečková:Kamarádky navždycky(永遠の女ともだち) (Žena se sovou 収録)
アニャ・オレヤーロヴァー Anna Olejárová:Preplatok(前渡し金) (Fantázia 2017 掲載)
マルチン・ペトロ Martin Petro:Muž, ktorý vymyslel farbu(色を発明した男) (Fantázia 2017 掲載)
アントン・スティッフェル Anton Stiffel:Adeptka(養子) (Fantázia 2017 掲載)
フランチシュカ・ヴルベンスカー Františka Vrbenská:
Zlaté mlhy na pobřeží(海岸の黄金の霧) (Žena se sovou 収録)
最優秀デザイナー賞(国内)
★ロベルト・チャルニー Robert Czarny:Válka světů(宇宙戦争)
ヤン・ボドロフ Jan Bodrov:Cesta k moři(海への道)
イヴァン・ガルヂーク Ivan Galdík:Ctnosti králů(王たちの仁徳)
ガリナ・ミクリーコヴァー Galina Miklíková:Párožrúti sa vracajú(双子の帰還)
レンカ・シメチュコヴァー Lenka Šimečková:Kaziměsti(戒律都市)
ミハル・イヴァン Michal Ivan:Dračia cárovná(竜血樹の女帝)
〔Neklan ひとこと〕
以前、この賞のノミネート作を発表した際、「チェコ&スロヴァキア作品部門はヤン・ハラーフカ&ヤナ・ヴィビーラロヴァーの „Pomníky zimy(冬の記念碑)“ の受賞は固い」と予想しましたが、当たりました。(こちらで読めます)
生涯功労賞が3月末に亡くなったヤナ・レチュコヴァーなのは当然でしょう(ユリエ・ノヴァーコヴァー女史による追悼文はこちら)。最優秀短編賞も彼女の „Kamarádky navždycky(永遠の女ともだち)“が受賞。これは掲載書を持ってたので読むことができました。二人の少女の友情を描いたファンタジィ・ホラーで、よく出来た作品なのは認めるにやぶさかではありませんが、年間最優秀作といわれると少し疑問が。その意味ではこれも功労的意味合いが感じられる授賞だと思います。
短編集部門にノミネートされたフランチシェク・ノヴォトニーの „Hvězdné hry(スター・ゲーム)“が同賞は受賞しなかったのに最優秀書籍に選出されたのは、最優秀書籍賞に選ばれたのだから短編集賞はいいだろということなのでしょうね。もっとも、収録短編が二編も短編部門にノミ
ネートされた „Žena se sovou(淑女と梟)“が受賞しなかったのには疑問が。
最優秀デザイナー賞は「国内」と謳っていながら、受賞したロベルト・チャル
ニーはポーランド人なのがこれまた不思議。彼が描いたウェルズの「宇宙戦争」
のカバー絵はカッコイイですけど(右上写真)、いかにもコンピュータで描いた
というツルンとした感じがあり、ゲームのパッケージのように見えるのがぼく
にはちょっと不満。ぼくならレンカ・シメチュコヴァーの „Kaziměsti(戒律都市)“
(右写真)の方を推しますね。