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2020年3月7日付け SARDENより抜粋

https://www.sarden.cz/2020-03-07-1900/anketa-kniha-roku-sardenu-petiletky-2015-2019-vysledky

 

チェコ・ファンタスチカのWEB誌SARDENがチェコとスロヴァキアの作家・翻訳家・評論家・編集者に、同誌が創刊した2015年から2019年までのベスト3を訊ねたアンケートを集計したもの(回答者数は49人。各人三作を選出。三作には入らなかったが、コメントで言及された作品も補助点1としてカウントされている)。

※印がついているのはチェコもしくはスロヴァキアの作品

1位(6票+1点)

 《ミツェリウム Mycelium》シリーズヴィルマ・カドゥレチュコヴァー Vilma Kadlečková)※

 

   「これはまさに豪華絢爛な一冊(註.第一巻『Jantarové oči(琥珀の目)』への言及)。ただひたすら薦めるのみ」

      マルチン・ベチヴァーシュ(FANTASY PLANET 編集・PEVNOST(要塞)誌で書評を担当・何より熱狂的

        ファンして本読み)

2位(5票+3点)

 《プロジェクト・クロノス Projekt Kronos》シリーズ

 (パヴェル・バレシュ Pavel Bareš)※

   「チェコ・ファンタスチカを愛する身にとってこれは衝撃的な

    読書体験だった。巧みな筆の運び、ストーリーは説得力に

    満ちていて骨。これでデビュー作というのだから、ガタ

    ガタ言わずに脱帽。第二巻ではそれがまぐれでなかった

    ことを証明してみせた。バレシュは天からの贈りものだ

      トマーシュ・アペルタウエル(本読み・SARDEN誌の

      元書評担当)

3位(5票+1点)
 《叛逆航路》三部作(アン・レッキー)

4位(4票+3点)
 『三体』(劉慈欣)

5位(4票+1点)
 《The Divine Cities》三部作(ロバート・ジャクソン・ベネット)

 『The City, Not Long After 』(パット・マーフィー)

7位(4票)
 『Vězněná (囚われの少女)』(パヴェル・レンチーン Pavel Renčín)※

  「この国の文学/ファンタスチカをめぐる状況の中でのホラー小説に

   ついては多くのことが論じられ、書かれている。出版数は大幅に

   改善されたが、依然として翻訳作品の方が優勢である。

    パヴェル・レンチーンは『Vězněná (囚われの少女)』によって、

   この国でも完璧なホラー文学が書きうることを証明してみせた」

      ロマン・《ベー・セー》・ビーレック(作家・脚本家・評論家)

  「ダーク・スリラーというかホラーというか。とにかくその緊張感と

   いまにも破裂してしまいそうなただならない雰囲気にうちのめ

   された」

       トマーシュ・マルトン(WEB誌Děti noci(夜の子どもたち)編集)

 『言の葉の樹』(アーシュラ・K・ル・グィン)

9位(4票+1点)
 『Naslouchač(耳をすます者)

 (ペトラ・ステフリーコヴァー Petra Stehlíková)※

   「とにかく続きが待ち遠しい」 ペトラ・ディエストゥレロヴァー(翻訳家)

10位(3票+1点)
 『The Years of Rice and Salt』(キム・スタンリー・ロビンソン)

11位(3票)
  新装版『ミサゴの森』(ロバート・ホールドストック)

 『The Fifth Season』(N・K・ジェミシン)

13位(3票)
 《Draconis Memoria》シリーズ(アンソニー・ライアン)
 『The Slow Regard of Silent Things』(パトリック・ロスファス)

15位(2票)
 『Archa zrůd(怪物たちの箱舟』(パヴェル・フリッツ Pavel Fritz)※
 《嵐光録》シリーズ(ブランドン・サンダーソン)

 《サザーン・リーチ》三部作(ジェフ・ヴァンダミア)

 『Kings of the Wyld』(ニコラス・イームズ)

 『Krev pro rusalku(水の精に捧げる血 』 

  (クリスティーナ・スニェゴニョヴァー Kristýna Sněgoňová) 

 『Kvalita života(クオリティ・オブ・ライフ

  (ヤナ・レチュコヴァー Jana Rečková)

 《The Culture》シリーズ(イアン・M・バンクス)

 『Metsän ketut』(レンカ・ファーロヴァー Lenka Fárová 編)

   註.チェコで編纂されたフィンランドのファンタジィ短編のアンソロジー

 『火星の人』(アンディ・ウィアー)

 《Commonwealth Saga》シリーズ(ピーター・F・ハミルトン)

〔Neklan ひとこと〕

 過去五年間にチェコで発表されたSF・ファンタジィのベスト1がヴィルマ・カドゥレチュコヴァーの《ミツェリウム(菌糸体)》シリーズとは。納得といえば納得ですが、とにかくこのシリーズがチェコのファンタスチカ・ファンたちに与えた衝撃(と喜び)の大きさがよくわかります。このシリーズが出現したおかげで彼らは自分たちの国でも外国の傑作と並べても遜色ない、しかもSF史においてもこれまで前例がないチェコ独自の斬新な作品が生まれたことを確信し、大きな自信が持てたのは間違いないありません。このシリーズ、すごく雑に紹介すれば、チェコの《デューン》+《ヴォルコシガン・サガ》といった感じでしょうか(この例えが間違ってたらスイマセン)。さっさと既刊分を読んでしまい、皆さんに紹介したいと思います。

 第2位が新人パヴェル・バレシュの《プロジェクト・クロノス》シリーズというのも驚きでした。評価が高いのは知ってましたが、表紙絵がアマっぽいので読むのを後回しにしていたのです。これもさっさと読まねば。

 第7位に選出されたパヴェル・レンチーンの『Vězněná (囚われの少女)』については本HPにおいて既に紹介、プッシュしておりますが、チェコのファンタスチカ・ファンたちに自信を与えたSFがヴィルマ・カドゥレチュコヴァーの《ミツェリウム》シリーズなら、ホラーはこの作品でしょうね。

 第9位のペトラ・ステフリーコヴァーの『Naslouchač(耳をすます者)』も早く読まねば(こればっかりでスイマセン)。

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