Vězněná
(囚われの少女)

著 者:パヴェル・レンチーン
Pavel Renčín
表紙絵:ミラン・マリーク
Milan Malík
発行年:2015年
出版社:Argo
頁 数:236
ISBN :978-80-257-1632-8
〔解 説〕
パヴェル・レンチーンの長編「囚われの少女」は他の追随を許さない最高のスリラーである。シュマヴァの国境地帯が舞台の恐怖に満ちた物語が実際の出来事に想を得ていると知れば、読者の背筋は凍りつくだろう。息が詰まるほどの孤独、厳しい自然、そして人の理解を超える邪悪さに身をゆだねて欲しい。読者の中には、ジャンルとしてスティーヴン・キングの作品の数々を思い出す人もいるかもしれない。
中学教師のマルチンは悪夢と記憶の奇妙な欠損に悩まされていた。彼は得体の知れぬ沼に引き寄せられ、狂気の中で自分を失いかけているように感じていた――どうやら彼はベッドに現れる死んだ若い娘を知っているらしいのだ。彼女の死が自分にどんな関係があるのか、彼は恐怖に慄いていた。だが、自分は深い狂気の中で我を失っているだけかもしれない。彼の秘密は四十年前の出来事に端を発しており、それを解く鍵は夏休みにシュマヴァの森を訪れた少女マリエが握っていた。彼女がであった恐ろしい運命の扉はマルチンの宿命と分かち難くむすびついており、引き返す道はもう残されていなかった。
(ファンタジィとSFの書籍データベースLEGIEの紹介より)
2015年アカデミーSFFH(SF・ファンタジィ・ホラー)賞
チェコとスロヴァキアのオリジナル作品賞受賞
〔Neklan 一言〕
Neklan イチオシの作家パヴェル・レンチーン初のサイコ・スリラーです。
監禁小説といえば、先頃亡くなったジャック・ケッチャムの「隣の家の少女」から、御大スティーヴン・キングの「ミザリー」、ユッシ・エーズラ・オールスンの「特捜部Q 檻の中の女」、ピエール・ルメートルの「その女アレックス」と傑作佳作怪作問題作にこと欠きません。
しかし、「囚われの少女」もそれらの作品に引けを取らない……というか、ある意味「変さ加減」においては凌駕すると言ってもいいかもしれません。
とにかく、声を大にして言いますが、「変」なのです。「変」なのです。大事なことなので二度書きました。
「変」といっても、シュールなのではありません。きっちりとリアリズムにのっとっているのですが……あ~っ、何を書いてもネタばらしになるのがもどかしい。とにかく、読む者の予想を次々に裏切り、新たな謎が現われます。
物語の設定としては本サイトに翻訳掲載したレンチーンの短編「喋らず、眠らず、ただ踊る」と似ているので、読んでて「あ~、あれと同じような展開になるのかな」と思った瞬間もありました。それが、アレレアレレという間に予想もしなかった方向に話が転がって行き、「こんなに話を拡げちゃって大丈夫か? ちゃんと結末つけられるんだろうな」と心配になり。
そしてラスト20ページで、「ギョエエ~、事ここに至ってこういう展開になるか。こういう展開にするか。そんなことして許されるのか? チェコの読者は怒らなかったのか?」と声をあげてしまいした。(ファンタジィとSFの書籍データベースLEGIEでは、投票者16人で95%という超高い支持率を得ています。このサイトでこんな高い支持率はホント稀なのです)
少しだけ明かすと、この怖い表紙画がなぜこのような絵なのか、それは物語で描かれていることそのままなのです。それがわかった時の驚きったらありませんでした。
下に掲載したプロモーション動画では「もしスティーヴン・キングがチェコ人だったら、この本を書いただろう」と謳っていますが、キングはこんな変な話は書かないって。彼はもっとストレートだって。その意味では、アメリカ人には決して書けない、チェコ人、いやパヴェル・レンチーンにしか書けない怪作なのであります。
この作品、日本でもぜひ紹介したいので、これをご覧になった出版社の皆さま、よろしくお願い致します。
動画内字幕の日本語訳
「囚われの少女」 少女誘拐のおぞましい物語
暗きシュマヴァの息が詰まるようなたたずまい
孤独 野生 邪悪
もしスティーヴン・キングがチェコ人だったらこの本を書いただろう
「囚われの少女」 実際にあった事件をモチーフにしたパヴェル・レンチーンのダーク・スリラー