Amélie a tma
(アメーリエと闇)

著 者:ペトラ・ネオミルネロヴァー
Petra Neomillnerová
表紙絵:ルボミール・クプチーク
Lubomír Kupčík
発行年:2012年
出版社:Albatros
頁 数:92
ISBN :978-80-00-02929-0

〔解 説〕
アメーリエは12歳……もう122年もの長い年月。黒い髪に黒いドレスを着て、自転車まで黒。その手はひんやりと冷たい。黒い古い家にお母さんといっしょに住んでいて、夜しか外に出てこない。友だちはいない。とにかく人とちがっていて、それで悲しくなっていくばかり。もう122年も……
思いがけずマルケータと出会ったことで、彼女はまた明るさを取りもどす。遊んだり、笑ったり、おしゃべりしたりする相手が突然できたのだから。マルケータはマルケータで悩みを抱えてる。友だちは彼女のことをわかってくれないし、おかあさんはそこそこ楽しく暮らしていくお金がカツカツあるだけ。二人の少女は自分たちの友情を二人だけの秘密にしていた。おぼれかけていたマルケータをアメーリエが助けるまでは。あの時から二人の人生はまったくちがったものに……
普通とは少しちがう友情を描いた、謎でいっぱいの繊細な物語はあなたをとりこにし、子どもたちは夢中になるでしょう。
吸血鬼ものの長短編で知られるペトラ・ネオミルネロヴァーは、ファンタジィの専門家です。彼女のジュヴナイル第一作となる「アメーリエと闇」はとても変わった、そして人の心をグッとつかむ一冊です。物語の謎にみちた雰囲気をルボミール・クプチークの妖艶なイラストがさらにかきたてます
(出版社Albatros の紹介より)
2012年アカデミーSFFH(SF・ファンタジィ・ホラー)賞
デザイナー賞 受賞(ルボミール・クプチーク)
〔Neklan 一言〕
122年もの年月、12歳のままの少女アメーリエ。彼女は吸血鬼、幽霊、それとも長命種族? 血と暴力とセックスに満ちた作風で知られるファンタジィ作家ペトラ・ネオミルネロヴァーが初めて書いたジュヴナイルはいったいどんな作品なのでしょう?
人間とは異なる存在と友だちになる物語は昔から多々ありますが(パッと思いつくのは「おばけのQ太郎」とか)、「アメーリエと闇」がそれらの作品と一線を画す存在にしているのは、ルボミール・クプチークのダークなイラストでしょう。2012年のアカデミーSFFH(SF・ファンタジィ・ホラー)賞のデザイナー賞を受賞したのも納得の出来です。
現在まで「アメーリエとカラフルな世界 Amélie a barevný svět」と「アメーリエと幽霊たち Amélie a duchové」の二作の続編が書かれています。
【2018年2月6日 読後感想】
Neklanは最近の所謂ヤング・アダルト向けファンタジィをフォローしていないので、この作品がジャンルにおいてどの程度のレベルに位置するのかわからないのですが、思っていたよりも面白かったです。(アメーリエとお母さんのリディアは
「幽霊」といっても肉体は持っていて、他人と接触したり、マルケータが買ってくれた服を着たりはできるのが日本の幽霊とちょっと違い、最初は戸惑いましたが)
裏表紙に【対象年齢8歳から】と記載されているので、ストーリー展開としては、それほど凝ったものではありません。結末も予想どおりのものです。
しかしアメーリエは自分が幽霊であるが故に、この先いつまでたっても成長することなく、せっかくマルケータと友だちになれたのに、その友情にもいつか終わりが来るのを自覚しているなど、ジュヴナイルには珍しい哀しさ・苦さが通奏低音として流れているところに、子ども向けでも手を抜かない、ファンタジィ作家としてのペトラ・ネオミルネロヴァーの矜持を感じました。二冊の続編でこの問題にいかなる結論が出されるのか、興味津々です。
また、「結末も予想どおり」と書きましたが、実は一つサプライズがあります。伏線まったくなしで突然現れますから、作劇の観点からするとフェアではないのですが、読んでいて気持ち良く、感動的です。