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2020年3月4日付け SARDENより抜粋

https://www.sarden.cz/2020-03-04-1910/anketa-kniha-roku-sardenu-2019-vysledky

 

チェコ・ファンタスチカのWEB誌SARDENがチェコとスロヴァキアの作家・翻訳家・評論家・編集者を対象にしたアンケートを集計した2019年の新刊ベスト。(回答者数は53人。各人三作を選出。三作には選ばれなかったが、コメントで言及された作品も補助点としてカウントされている)

※印がついているのはチェコもしくはスロヴァキアの作品

1位(7票)

 『ゲーム・プレイヤー』(イアン・М・バンクス)


2位(6票+2点)

 『いまファンタジーにできること』(アーシュラ・K・ル・グイン)

3位(6票)
 『The Obelisk Gate』(N・K・ジェミシン)
 『Terminus』(トム・スウェーターリッチ)

5位(5票)
 『The Warren』(ブライアン・エヴェンソン)
 『Inferiumu』(ロマン・ブレシュ Roman Bureš)※

7位(4票+3点)
 『The Rise and Fall of D.O.D.O.』

  (ニール・スティーヴンスン&ニコル・ガランド)

8位(4票+2点)
 『Kings of the Wyld』(ニコラス・イームズ)

9位(4票+1点)
 『Kronovy děti(クロノスの子ら』(パヴェル・バレシュ Pavel Bareš)※
 『Ve stínu magie(魔法の影にて

  (ボリス・ホクル Boris Hokr & レオシュ・キシャ Leoš Kyša 編)※

11位(4票)
 『I Knocked Up Satan's Daughter』(カールトン・メリック三世)

12位(3票+1点)
 『Legendy: Praga caput regni(伝説:王都プラハ)

  (ミハル・ブロネツ Mchael Bronec 編)※

13位(3票)
 『ナインフォックスの覚醒』(ユーン・ハ・リー)
 『The Fall of Gondolin』

  (J・R・R・トールキン 著/クリストファー・トールキン 編)
 『Píseň oceli(鋼の歌

  (ミハエラ・メルグロヴァー Michaela Merglová)※

16位(2票+1点)
 『Liftarens parlör till galaxen:

  En berättelse om 101 språk som egentligen inte finns』

  (イェンス・ヴァールグレーン Yens Wahlgren)

   スウェーデンの架空言語の専門家イェンス・ヴァールグレーンがエルフ語、

    クリンゴン語等、様々な言語について解説した書。

 『The Grey Bastards』(ジョナサン・フレンチ)

18位(2票)
 『伊藤潤二自選傑作集』(伊藤潤二)
 『Borne』(ジェフ・ヴァンダミア)
 『Mízožravci』(ペトル・ボチェック Petr Boček)※
 『Noc a mlha(夜と霧』(トマーシュ・バンジュッフ Tomáš Bandžuch)※
 『The Builders』(ダニエル・ポランスキー)
 『Skyward』(ブランドン・サンダーソン)

Neklan ひとこと〕

 日本とチェコでは翻訳されているものがずいぶん違うので、知らない作品・作家が多いのですが、それはそれで興味深いですな(新作の翻訳・出版に関してはチェコの方が日本より若干先を行っている気がします)。

 このリストに選出されたチェコとスロヴァキアの作品について少し書きますと。

 5位の『Inferiumu』は、ぼくがあまり興味のないマッチョ・アクション系ファンタジィをもっぱら書いているロマン・ブレシュの作品なのでパス。

 9位の二作、パヴェル・バレシュの『Kronovy děti(クロノスの子ら』は、人気・評価ともに高い「プロジェクト・クロノス」シリーズの第二巻。2052年、全面戦争により核の冬が訪れた世界で、上層部には富裕層、下層部には貧しい者たちが住む階層都市が舞台のノワールSF(?)。第一巻『Projekt Kronos』は買ってるけど未読。

 『Ve stínu magie(魔法の影にて』は魔法がテーマのアンソロジー。こちらも持ってるけど未読。

 13位の『Píseň oceli(鋼の歌』はミハエラ・メルグロヴァーの短編集。チェコとスロヴァキアのファンスチカは女性作家たちがほんと元気。玉石混交が激しいので、面白いものを見つけ出すのが大変だけど、これはアクションものではなく、しかも評判が良いので、買ってみます(でも600ページもあるんですと)。

 しかしパヴェル・バレシュが1994年生まれで今年26歳。ミハエラ・メルグロヴァーが1990年生まれで30歳。バレシュは『Kronovy děti(クロノスの子ら』が三冊目、ミハエラ・メルグロヴァーは『Píseň oceli(鋼の歌』が第一冊目と、どちらも新人。チェコ・ファンタスチカ界も若い作家が育ってきているのはもちろん、そういう新人の本を出せるぐらい出版社が頑張ってるというのがうれしいです。ぼくの読書スピードが遅いため、紹介が進まず、申し訳ないかぎりです。

 あと、18位に伊藤潤二さんの漫画『伊藤潤二自選傑作集』が選ばれているのは快挙というか、こういう作品がチェコでも受け入れられ、高い評価を得ているのはうれしいかぎりです。チェコで翻訳されている日本の漫画は「ジャンプ系」が多いものですから(などと偉そうに書いてますが、怖い小説は好きなのに、怖い漫画は苦手なので、伊藤潤二さんの作品はそんなに読んでないNeklanです。スイマセン)。

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