Nad českými zeměmi slunce nezapadá
(チェコの上空では太陽は沈まない)

著 者:ヤン・コトウチュ
Jan Kotouč
表紙絵:トマーシュ・フラク
Tomáš Flak
発行年:2016年
出版社:Brokilon
頁 数:318
ISBN :978-80-7456-296-9
〔解 説〕
19世紀の半ば、世界を未曾有の危機が襲った。海面が上昇し、地表の大部分が消失。国土全体が沈んだ国あれば、新たに生まれる国あり。その一つがチェコ・スロヴァキア王国である。
20世紀の中盤は植民地と海軍兵力をそなえ、世界支配を狙う王国の時代となった。海を征するものこそ世界を征す。しかし、海洋の支配を目論むのはチェコだけではなかった。世界という将棋盤の最大のプレーヤーは、牙を研ぎながらチェコ・スロヴァキアの国土をも狙うロシア大公国だった。
装備において圧倒的有利な大公国海軍。チェコ人が力を五分と五分に持ち込むには、新戦力に賭けなければならない。
海軍航空部隊がそれである……
(出版社Brokilonの紹介より)
〔Neklan一言〕
右傾化しているのは日本だけではなく、チェコでもこのような国威発揚的な小説が人気なのか? NeklanはミリタリーSFにあまり興味がないというか、ハインラインの「宇宙の戦士」とホールドマンの「終わりなき戦い」で十分という人間なので、この作品にも食指は動かないのだけど、「巧いな」と思うのは、時代を20世紀半ばに設定してある点。
時代設定は、第一次世界大戦も第二次世界大戦も起きなかった世界の1948年。現実(=我々)の世界ではチェコスロヴァキア共産党が政権を奪取し社会主義国化した、チェコ人にとってはトラウマになっている年だが、その年に強大かつ横暴なロシア勢力と戦う。日本でもかつてSFというレッテルがあるだけで小説が売れなかった「SF冬の時代」に、似たような設定の歴史改変シミュレーション小説(「ミッドウェー海戦で日本が負けなかったら」的な)が多々ありましたが、いずこも同じ秋の空。
政治的なことはさておき、カバー絵を見ればおわかりのように、1948年といえば、まだプロペラ飛行機の時代。戦艦と艦上爆撃機(?)の戦いという、それだけで男子はちょっと熱くなりそうな設定だから(トマーシュ・フラクの絵がなかなかカッコイイ)、チェコの右翼青少年はもちろんミリタリー・マニアたちも大喜びすること間違いなし。これはPCゲームにして出せば売れるだろうなぁ。
Neklan個人としては、この作品が歴史改変SFとしてディックの「高い城の男」のように何らかの広がりがあるのなら読んでみてもいいと思いますが、どうやらそれはなさそうなので、今のところは紹介だけで勘弁してください。
とはいえ、チェコの歴史改変ミリタリーSFの出版に興味のある出版社の方がいらっしゃいましたらご連絡ください。すぐに読みますけん。(笑)
もし日本語訳が出版されるとしたら、タイトルは「ロシア大公国艦隊を撃沈せよ!」ってな感じでいかがでしょう? 安易~。